うるさい


「ああつまんねぇ人生になっちまったなぁ」
彼はポケツトに両手を突つ込んで空を仰いで自嘲気味に笑った。僕は非常にその弱弱しい諦め切つた様が気に食わなかつたので、駆け寄つて追い付いてその頬向けてグーで殴り倒した。そんなに若いくせして、まだ何にもしていないくせして、何を抜かす、と叫ぼうとして、起き上がつた彼の強烈な左ストレートを無様にまともに喰らった。


「誰もお前に、わかってくれとも、慰めてくれとも、言ってねぇ」


彼は本気で、相当本気で、本当に本当に、怒つていた。心の底から、怒りを滲ませて、鬼の様な形相で僕を睨み付けていた、激しい憎悪を燃やして。