皆には皆がいるから


あの子は彼氏が出来て
あの子は仕事が忙しくて辛くて
あの子は学校が大変で
あの子は私なんかより辛い中で耐えて仕事も頑張ってて


あの人は彼女がいて
あの人は純粋な音楽愛があって
あの人はバイトもキツイ中頑張って学校行ってて
あの人はサークル活動も友人もちゃんとあって


ミュージック、ギター、そのサウンド
アナタの持つ全ては、私には、何もない。



私の尊敬する全ての人間は
いつだって私を貶める原因を担う
救いの手すらあっても触れれば痛い
冷え過ぎた手は、ただ火傷を起こすばかりだ
ボロボロになって行く



私には皆しかいないのにね
皆には皆がいるんだよ
そのどこにも私がいない
その手には届かないし、掴めない
君の視界の片隅にだって私はもう映っていない



最近じゃあ、指先すらこちらに向けてくれなくなるよね
どんどん私の視力は落ちてってね
いつか失明するかもしれないけど、
多分君の笑顔さえ見れないままなんだろうなぁ



私が最期に映すもの
羨望と悲哀に塗れた視線で、
君の行く末を見るんだろう
その日に日に、一秒毎に、遠ざかる、背中を


この手は何にも触れずに焼け落ちてしまった



もう何も要らないよ
どうせ、くれないだろうから
空っぽのままで逝くよ
もしも君が泣いたりしたらきっと私呪うだろうなぁ
君は私なんか要らなかったくせに
失くしたものは美しいなんて定理に惑わされないで


私は君の一番にはなれなかった
いつまで経っても
これが真実



それじゃあ、さようなら