Gospels


お前が壊れろと
呪いの言葉を吐いた
鈍色の空
ヒビが入った


私の頭の真上の真上で
太陽はくたびれた顔で今日も問う
「ねぇ今何時?」


老人がかさ付いた手で大地をなぞった
「終わりだけがただ等しく皆が持ち得るものだ」と
黄色く濁った目玉が歪んだ


お前が壊れろと
私は空の彼方へ放った
耳を塞いでも
冷たい唄がまだ


神様はげらげら笑ってる
気が狂ったように甲高い声で
げらげらげらと、笑っている


差し込む光で
私たちの前頭葉は焼け落ちた
それさえ知らずに
猫の背を撫で続けている


左耳でレクイエムを聴いた
嘘のような恍惚感の中で
両手が血塗れの少年の
悲痛な唄声を聴いていた


それはまるで悪夢のように
いつまでも
続く
ような


鈍色の
空は
今日も


手を翳して
私は
瞳を伏せ


呪いながら
祈った
それだけを


福音さえ
忘れて
それだけを


砂の中で眠っている
天使が目覚めるのを待った
墓標の前
跪いている


お前が壊れろと
私は血の流れる唇で
全て投げ捨て
全てを呪いながら


虚ろな眼で
世界を
なぞっていた


その記憶を
私は
ここで抱いて


神様の声
私は
最期まで


それだけを
泣きながら
ただ