気が付いたら舌が焼け爛れていた


布地の染みと、死んだ少女の眼と、保健室から望む静かなグラウンドと、真夏の馬鹿みたいに強い日差しと、廊下を過ぎる誰かの笑い声と、それからまた訪れるきんと耳の軋む程の静寂と、溜息一つ零れない唇と、歪んだ思考回路と、後悔と、懺悔と、正気と凶器の狭間と、暗転する空と、突然の夕立と、雨に腐った蚯蚓の死骸と、それが放つ腐臭と、恐怖と、嫌悪と、逃れられない現実と、雨粒に打たれる項垂れた雑草と、自分自身と、窓ガラスの歪みと、そこに映る彼女の横顔と、それから


最終的には僕が発狂して彼女の華奢な首を絞める、絞める、締め上げる、叫びながら叫びながら、なんて?



どこまでも膨れ上がる自意識過剰の世界の中で、異常に塗れた僕の世界の中で、君が死ぬ。死んでしまう。けど僕は死なない。地獄よりも酷い世界。美しいもの程簡単に。それ位なら僕が死ねばいいのに。